2005年8月アーカイブ

#133 やけくそ

地元の安売りクツ屋が閉店した。

ある日の午後、自転車で店先を抜ける。
店先にはラジカセのようなモノが置いてあり、そのラジカセはやかましく客寄せをしていた。
在庫処分セールをしているのだろう、サンダルが100円だったりと、ヤケクソ感を撒き散らしながら、クツ屋はその終焉を迎えていた。

しかし、ヤケクソなのはサンダルの値段だけではなかった。
ラジカセから、残念としか言いようのない音質で垂れ流される、客寄せのメッセージ。

「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ! 最後の最後の、最終ラストです!

なんだこのヤケクソ感。これじゃあ「おしまい」という意味を持つ言葉をただ連呼しているだけじゃないか、カウボーイよ。
ここまで意味のないメッセージは、いまだかつて聞いたことがない。もうメッセージというより"音"だろう。普通にびっくりした。

そして、在庫を大量に抱えたまま「最後の最後の最終ラスト」というデスティネーションに到達したこのクツ屋。
閉店後の跡地に同一なスタンスのクツ屋が再び開店したところに、強烈な足立区クォリティを僕は感じた。

 

#132 God hits us, again

先日、出先からの帰宅途中、落雷によって電車の運行が停止してしまった。
地元に帰る途中の曳舟(ひきふね)駅で電車は停まってしまい、1時間以上待っても電車は運行を開始する気配も見せないため、タクシーを拾い帰路に就いた。
4,260円であった。4,260円で、あった。よ、4,260円...。

132a.jpg

添付の画像が、そのときの関東地方の落雷のもようである。赤いマークは、直近に発生した落雷を示している。
逆に解りづらくなってしまったかもしれないが、画像では我が町足立をフォーカスしてみた。

うむ、真っ赤である。

神は足立に地震の制裁を加えたのち、こうして聖なるいかずちをも集中させた。
足立区民の横暴を見るに見かねた神は、足立区民を一喝するがごとく、ついに立ち上がったのだ。

昔から、怖いものの代表として「地震・雷・火事・おやじ」が挙げられる。
この夏、我が町足立はこの象徴を見事に踏襲しているのだ。秩序を守れば、次は業火が足立を焼き尽くすことになる。

そして、焼け野原と化した足立の地の上で次に繰り広げられるのは、地獄のおっさん祭りである。
足立の明日はどっちだ。

 

地下鉄のニオイがスキだ。

以前に「地下鉄のニオイの芳香剤が発売されたら買う」と記したこともあった。地下鉄駅に降り立つと、やや過呼吸になっている僕がいる。
また、地下鉄で通勤したいがために庶務さんに泣きついて定期の申請を出したということも、粉飾のない事実である。

すべては地下鉄に乗りたいがため。地下鉄のニオイに身を委ねたいがため。
特に、東京メトロ銀座線上野駅の、昭和初期からの空気を封じ込めたかのような、あのニオイは本当にかけがえがない。

日本発の地下鉄にはしゃいだ下町の活気を包んだ空気、戦争の爆撃にも耐え忍んだ空気、高度経済成長時代に多くの団塊の世代を輸送した空気、バブル景気から平成不況への隆盛と凋落の中の空気、そしていまとこれからを司る21世紀の空気...。
東京メトロ銀座線上野駅は、そのすべての空気の中、地下鉄を通してそれらの時代を静かに見守ってきた。雑踏鳴り響く地面の下で、空気をそのまま封じ込めてきた。

そのニオイを、僕はカラダ中に摂り入れて出勤するのだ。
東京メトロ銀座線上野駅のニオイには、空気に溶け込んだ/空気に染み込んだ 歴史の重みがある。そう思うと感慨も深いだろう。

だが、帰宅してベッドにもぐり込んだら、敷いてあったタオルケットからなぜか千代田線の車内のニオイがしたのだ。これには思わず舌打ち。

断っておくが、電車の車内のニオイはスキではない。あんなのただの加齢臭ではないか。
そして、我が身にも徐々に近づく加齢臭(川柳風に)。

会社の同期のフクシマ君(仮名)が、僕の自宅を擁する足立区へとやってきた。

自宅へ招く際に「今日は彼女いないの? オレ、彼女に怒られない? 土下座で許してくれるかな? 呼吸をさせていただきます」と彼は意味不明な心配をしながらも、僕らは足立区の地へと降り立ったのだ。
彼は「新しい業界用語覚えたから聞いてくれ」と宣言した後、「ギロッポンのナーオンをパンナーして、ザギンでシースーをベーターする」と得意満面に言うほどのポテンシャルを持っている男である。
先日も昼食時に、"【ハードゲイ】という概念を最初に考えた人について"のテーマのもと、小一時間議論を交わした。断っておくが、僕らは社会人だ。

さて、足立区に降り立ったフクシマ君(仮名)。彼の住んでいる千葉県松戸市の某所と、彼はその街並みを比較していた。
「この街並みは...! 本屋もデカイ...! コレはウチの負けか...」。彼の住む街より、足立区のこの街並みはやや勝っているらしい。
この角を曲がるとドン・キホーテがあるので、それも紹介しておこう。

「本屋の角を曲がると、この先にはドンキがあるよ」
「うぉ、ドンキかよ! コングラッチュレーション!(?) 我が街は完敗であります!」

ドン・キホーテでこの反応である。そのポテンシャルに期待大だ。

 

客先に配属されてひと月になる。勤務先は新宿から港区の某所になった。

僕は毎朝決まった時間の東京メトロ南北線の電車に乗って、会社近くの駅まで行く。
駅からしばらく歩くと、信号がある。ココでも決まって、同じ女性とすれちがう。

だが、同じ時間に同じ信号ですれちがうこの女性、いつも全力疾走なのだ。

初めて全力疾走のこの女性とすれちがったときは「ああ、遅刻しそうなんだな」と思ったが、毎朝毎朝、来る日も来る日も全力疾走なのだ。すれちがう回数を重ねるにつれ、疑念も湧き始める。
何を考えているのか。そういうプレイなのか。それとも朝のジョギング気取りか。

必死の形相で、僕があとにした駅を目指す女性。
その女性に、「目覚まし時計を10分早くセットする」という最高のソリューションを教えるべきなのだろうか。

僕は今朝、いつもより1本遅い電車で会社近くの駅に到着したのだが、その女性とはキチンと駅の階段ですれちがった。

もちろん、僕のある種の期待を裏切ることなく、全力で階段を駆け降りる女性。
誰だか知らんが、この女性に幸あれ。

 

東京異常階段 について

■ 作者:
 文豪きどり
 松岡
 1982/05/29 -
 好きな食べ物は屋台の焼きそば
■ 概要:
 □ 異常階段:
 東京近郊に存在する たぐいまれな階段を紹介
 □ column - TokyoShortSight:
 東京に住むいち人間として近視眼的にモノを見て、そのことについて書いてます
■ メール:
 matsuoka@ijo-kaidan.net

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